私たちの身近にある製品でも、生命を危険にさらすものが存在します。

では、これから過去に話題になった「リコール」の事例を振り返ってみることにします。最初は「パロマ工業株式会社」の「半密閉式湯沸器」のケースです。半密閉式湯沸器とは、20年ほど前まで一般家庭の台所などでよくみられた、屋内にガスの燃焼が目視できる湯沸かし器の本体を設置し、排ガスをファンで屋外に排気するタイプのもので、俗に「瞬間湯沸かし器」といわれていました。今では屋外で燃焼させるタイプがほとんどですが、かつては我が家にもあったのを覚えています。
「パロマ」社は、その湯沸かし器の代表のようなメーカーです。ところがそのパロマ社の製品で、ファンが正常に作動せず、二酸化炭素(CO2)が屋内に流れ込んで、居住者が一酸化炭素中毒で死亡する事故が起きていたのです。これが発覚したのは2006年、松江市のYさんが、当初「病死」とされていた長男が一酸化炭素中毒死だったことを知り、警察に再捜査を依頼したことによります。
そうしたら、1985年からの20年間で事故27件、20名死亡という事実が明らかになりました。この数が多いのか少ないのか、ユーザーに問題はなかったのか、それを判断することは難しいでしょう。しかし、ここでの問題は、事件発覚当初、パロマ社が「不正改造によるもの」と強弁したことに加え、事故の発生を知りながら、「リコール」をせずに放置したことにあります。パロマ社の信用は著しく失墜し、約200億円の損失をだしました。
付記すれば、パロマ社は経営再建のため、北海道工場のパート、アルバイト全56人を解雇しました。弱いところにしわ寄せがいくのは、なんとも残念なことです。